貸金業法においては,貸金の取立てについては次のように規制されています。

貸金業法(昭和五十八年五月十三日法律第三十二号) (取立て行為の規制) 第二十一条(抜粋)  貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。 一  正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。 二  債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに、前号に規定する内閣府令で定める時間帯以外の時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。

貸金業法施行規則 (昭和五十八年八月十日大蔵省令第四十号) 第十九条(抜粋)法第二十一条第一項第一号に規定する内閣府令で定める時間帯は、午後九時から午前八時までの間とする。

 

家賃債権は貸金ではありませんし大家さんは貸金業者ではありませんから上記規制を受けるわけではありませんが,いわゆる夜討ち朝駆けのように早朝や深夜を狙って入居者宅を訪問するのはさすがに問題があります。

よって,特段の事情がなければ貸金業法の規制に準じて入居者宅を訪問する場合は午前8時から午後9時くらいまでの間にしておくことが無難です。

しかし,入居者の職業や属性によっては午前8時から午後9時では不在で会ったり必ず寝ている時間で会えないということが起こります。

また,行動パターンが把握できない入居者の場合には,通常の時間帯で会えない場合は訪問時間帯を早朝や深夜帯にずらしてみると会えるということもあります。

そこで,そうしたケースではどの時間帯での訪問であれば問題ないのかを考えてみたいと思います。

 

深夜早朝の訪問には正当な理由が必要

深夜早朝に家賃の督促のため入居者宅を訪問するのはあまり穏当なやり方とはいえません。

大家さんとしては単に「話し合い」のつもりでも,入居者は「夜中にまで取立てにくる」と思っていてもおかしくありませんね。

とはいえ,入居申込書の記載内容やその他の事情から通常の時間帯には在宅していないことが明らかなのにその時間帯に繰り返し訪問することは無意味です。

このような状況の場合は,電話督促,書面督促,そして通常の時間帯の督促と段階を踏んだ上で深夜早朝帯の督促へと移行すれば正当理由ありといえるのではないでしょうか。

ただし,このような場合でも午前0時以降の督促はお止めになるべきです。

賃貸保証会社による午前0時以降の督促が不法行為に当たるとされた裁判例もありますから,入居者から希望があったなど例外的な場合以外は避けたほうが無難です。

なお,弊所では深夜早朝帯の督促・交渉は行っておりません。

通常の時間帯での交渉が困難な入居者の場合は支払意思や支払能力がないことがほとんどですので,このようなケースでは早期に法的手続きへ移行致します。