家賃滞納の酷い入居者に対して任意に立ち退きを求めていく場合,相手の立場を考えて交渉していますか?

悪いのは100%あっちなんだから立場を思いやってやる必要なんかない,とお考えの大家さん,確かにそのとおりです。

しかし,相手の立場に全くの無配慮では交渉事は有利に進みません。

その結果,任意退去させられるような案件でも明渡し訴訟となってしまい,費用が過大にかかるのでは本末転倒ではないでしょうか。

それよりも,相手の立場に歩み寄りながら,落としどころを探って速やかに任意退去してもらう方が遥かに経営効率が良い賢いやり方です。

では,実際にはどのような点に配慮が必要なのでしょうか。

一番重要なのは立ち退いた後の行先についてです。

運よく実家が受け入れてくれる場合はスムーズにいくことが多いですが,他の賃貸物件を探す場合はやはり転居費用が嵩みますので,その捻出がうまくいかないことにはいくら本人が退去するつもりになっていたとしても事態は進展しません。

ところが,立ち退き交渉で失敗する大家さんは,いついつまでに退去してくださいと通告して入居者が了承した場合,それ以後どこにどうやって引っ越すのかについて無関心なのでうまくいかないのです。

新たに賃貸物件を探すのであればどのような条件のところを探すのか,費用はいくらなら用意できるのか,引っ越し作業は身内や知人に頼めるのか,それとも業者への依頼が必要なのかなど,全てに関心を持ち,費用が不足するようなら社会福祉協議会やその他公的機関の貸付制度を紹介したり,そもそも多重債務問題に苦しんでいるなら司法書士や弁護士などの専門家を紹介するなど,ある程度親身になって対応してあげることで大家さんにとっても最善の解決が図れることがあるのでぜひそうした対応を取ってみてください。

こうすることにより,早期に円満退去が図れることに加えて転居先も把握しやすいですから滞納分の回収にも効果的です。

なお,いくら親身になると言っても滞納者の話を鵜呑みにすることは禁物です。

転居先が決まりましたという話は真っ赤なウソだったということも十分ありえます。

相手の話には理解を示しつつ,しっかり裏付けを取りながら交渉を進めていくようにしましょう。