当相談室では,家賃滞納問題は出来る限り裁判にせずに解決することを目指しています。

もちろん,賃借人が行方不明の状態の場合は法的手続きにより解決を図るしかありませんが,現に居住しているケースでは出来る限り交渉により任意退去していただくようにしています。

そのような方針をとる理由は次の二つからです。

①解決までの日数を大幅に短縮できるため

②オーナーさんの費用負担を少なくできるため

まず①ですが,裁判を前提とした手続きだと通常明け渡しまでは4ヶ月以上,事案によっては半年,1年とかかることもあります。

その間,当然ですが賃借人からは家賃は入って来ません。

裁判は一番確実な方法ではありますが,場合によっては任意交渉による解決が可能な事案でも,その芽を摘んでしまうことがあります。

訴訟の提起は,ある意味

「すぐに出ていけ」

という強い意思表示ですから,これにより賃借人が態度を硬化させてしまうことが起こるのです。

一方,任意に明け渡し(又は家賃滞納の解消)をして頂く場合は,場合によっては1週間程度で解決可能なこともあります。

もちろん,滞納の理由は多様ですからすぐの解決が困難なこともありますが,まずは平和的に交渉にあたることにより相手と良好なコミュニケーションがとれ,早期解決につながることも多くあります。

また,和解が調わず裁判となった場合でも,いきなり裁判を行ったケースと比べて訴訟上の和解が出来る可能性が高まります。

以上のことから,裁判も視野にいれつつ可能な限り任意交渉を行うというのが当相談室のスタンスです。

次に②についてです。

裁判にした場合にかかる費用は,印紙代,郵券,申立手数料,執行予納金,明渡し断行費用等多岐に亘りますが,少なく見積もっても30万円以上かかることがほとんどです。

また,これに加えて司法書士や弁護士に支払う報酬も必要ですからオーナーさんの負担を大きなものです。

一方,裁判にしない場合はというと,司法書士や弁護士に支払う報酬以外はかかりません。

場合によっては裁判所の「訴え提起前の和解」という制度を利用することがありますが,これの申立手数料は2000円です。

これだけ多くの差が出るのですから,滞納問題について専門家に依頼される場合は任意交渉による解決も模索するよう検討してもらうべきでしょう。

今回は,無理に裁判にせずとも,専門家による任意交渉により早期に費用負担を抑えた解決が可能というお話でした。

多くの事務所では,機械的に内容証明を送付して無反応であれば訴訟提起という対応を取っていますが,それが必ずしもオーナーさんにとって最良とはいえません。

専門家へ相談される方はこの点をご検討の上相談先を決定されるべきでしょう。